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zoom RSS 『斬』 綱淵謙錠・著  首切り浅右衛門の話です

<<   作成日時 : 2012/01/17 22:08   >>

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この作品は、江戸の元禄の頃から明治14年の廃刑まで
斬首の刑を執行した山田浅右衛門一族の物語です。
(浅右衛門という名前は代々受け継がれ行く「屋号」のようなものです)

昭和46年から47年に書かれた作品で
第67回直木賞 受賞作だそうです。


斬首というのは実はこの一族の正式な仕事ではなく
本当は刀の鑑定をする試刀家だったらしいです。

斬首の仕事はもともと町奉行同心の業務だったけど
彼らの嫌がる仕事の代役をして、
その代わりに斬首後の屍を試し斬りに使用する自由と
生胆(いきぎも)を抜き取り薬剤として売買する自由を役得としていたらしいです。

首切り浅右衛門という一族の存在は、前から知っていたけど
江戸末期から明治初期にかけての動乱の時代の中で
山田家が崩壊へと向かう様子が克明に描かれていて
詳しく知る事が出来ました。
・・・と言っても、あくまで小説なので、
どこからどこまでが本当なのかよくわからないところもありましたが。

特に「なんだかな〜(-。-;)」
と感じたのは、主人公である三男・吉亮(よしふさ)の父親の後妻・素伝(そで)の事。
若くて美人で魔性のある女で
この後妻のせいで山田家に不幸が訪れたかのような描き方をされてる。
それって、なんか変だと思うんですよね。

この素伝さんは、まだ15歳だった三男・吉亮と関係を持ち
さらには、長男とも関係を持って、その子供を産み
実は次男がとち狂ったのは、美しい素伝の事が好きだったからではないか・・・
とまで来るとね〜(;^〜^A
(山田家は四兄弟です)

小説だから、そういう風に描きたくなるのかもれしないけど
あんまり現実的じゃないと言うか、創りすぎって言うか・・・。

例えもし本当の事だとしても
どう読んでも私には、創作としか思えないんですよね〜。


せっかく山田家の日記類や吉亮の談話などを引用して
史実に基づいて話を進めてるのに
そこだけリアリティーが失われてしまって
「小説としてもこの話に義母への恋愛感情を絡めるのは、どうなのかなぁ?」
って気がしました。
人の命を奪うプロである一族の話が薄っぺらくなってしまう気がしちゃうのよね。


明治になってからの時代の変化について行けない兄弟達は
職に就けず、親から分けてもらった財産を女郎屋につぎこんじゃったり
犯罪に走ったりで、なんか情けない限りです。

もうちょっと奥さんや子供の事を考えたら?
って怒りが湧いて来ましたね。
時代が変わった事でもっと悲惨な状況に陥った人々は多かっただろうし
辛いのは、あんた達だけじゃない・・・!
と思った次第。


この作品の中で1番ショックを感じたのは吉亮が
数え年12歳の時から斬首の仕事を始めた事。
(幕府には15歳として届出して)

これは本当の話のようです。
数え年だから、実際は11歳ぐらいの子供ですよね?

斬られる側としても、「こんな子供にうまく処理できるのだろうか?」
って不安に思いますよね、たぶん。
処刑される時はなるべく腕の立つ達人に当たりたいですよね?

まぁ、吉亮は年若いとは言え、幼少の頃から特訓を重ねている
傑れた(すぐれた)剣士だったから、大丈夫ですけどね (*∪ _ ∪*)


それにしても仕事をお辞めになった吉亮がその後
どう暮らしていったのかが気になりました。

小説では最後の処刑の日に現れたのは実の弟で
「呪いだ。山田家は呪われている」で終わってたけど。
(小説なので、ドラマチックに弟という事にしてあるみたいですが)

私としてはそのエピソードも安っちくて感じて嫌だったけど。
私が思うに、吉亮は人を斬る仕事だから呪われる
という考え方はしてなかったんじゃないかと思います。
罪人を苦しませず確実に首を打ち落とす技術を誇りに思ってはいても。
まぁ、本当の気持ちは、わかりませんが・・・。


ウィキペディアによると
吉亮は27歳の時に市ヶ谷監獄の書記になったけど
翌年には退職してるらしいです。

その後の人生は親からもらった財産だけで、暮らせていけてたのかなぁ。
57歳までご存命だったみたいです。
私の祖父が4歳の頃に亡くなったと考えると
あんまり遠い昔の人という気がしないですね。

なんだか感慨深く思いました。








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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
ルナさん、こんばんは。とても本がお好きな様ですね(^^)私も嫌いでは無いんですが…仕事も忙しく、暇が無いと言うか…でもルナさんの読み終えた感想を見させて頂いて、すっかり一冊の本を読んでしまった気分になっております(笑)でも気になった作品は自分でも購入して読んで見たいな〜と思っていますよ(^^)話しは変わりますが、禁煙も13日目ですが禁断症状も出ずに楽に生活出来てますよ〜♪では又コメントします(^^)
しんじ
2012/01/19 21:59
■しんじさん

あはは、本のところにコメント頂きまして
どうもありがとうございます
本のところにはコメントが来ないのが
普通な感じなんで(笑)

私も自分が興味ある本の事なら
他の人の感想を調べたりするけど
全く興味ない本の感想は、読んでも面白くないですからね〜。
なんていうか、趣味の領域ですもんね。

私は実は漫画のほうがもっと好きなんだけど
図書館で借りられるのが文章の本だけなんで
漫画を購入する資金があったら
漫画ばっかり買って読んでしまうかも

暇ないと本って読めないですよね!
私も外で働いていた頃は一冊読み終わるのに
何ヶ月もかかったりしてましたね。
ずっと同じ文庫本がバッグの中に入っているという…
その頃に比べたら、今はとっても幸せですね

そうか〜〜〜
気になった本は読んでみたいと思いますか (;^_^A
私は全て図書館で借りて読んでるから
損した気分はないんだけど、もし自分で買って読んだら
「買わなきゃ良かった」
って思うような本もたくさんあるんですよね。
だから買ってまで読むか?というと、そうでもない
って本のほうが実は多いんです。
借りて読んでるのに文句言っちゃいけない的なところが
あるんですよね〜。

だから私の感想で、本を買わないで〜!
って実は思ってるんですよ
なんか責任感じちゃうんで(;´▽`A``
ルナ☆
2012/01/21 16:08
ところで禁煙、スムーズに出来てるんですね!
それは素晴らしい
タバコも何十年も買い続けると車一台買えるって
お医者さんから説明受けましたよ。
禁煙できたら、その分タバコ代がお小遣いになるから
いいですよね〜
ルナ☆
2012/01/21 16:08

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